人事のキャリアって、どう描けばいいんだろう——北海道で「人事のプロ」になるということ
キャリア・人事の成長

人事のキャリアって、どう描けばいいんだろう——北海道で「人事のプロ」になるということ

#採用#評価#研修#組織開発#経営参画

人事のキャリアって、どう描けばいいんだろう——北海道で「人事のプロ」になるということ


1. 冒頭:読者のモヤモヤを言葉に

「人事の仕事を続けていていいのかな」と、ふと立ち止まることはないでしょうか。

採用して、入社手続きして、研修を手配して、労務対応して——毎日忙しいのに、「自分は成長しているのか」が見えにくい。周りに同じ職種の人がいないから比較もできない。人事系の情報は東京中心で、北海道での実践にそのまま使えるかどうかわからない。

ある北海道の中堅企業で人事を担当している30代の方から、こんな話を聞いたことがあります。「入社5年目になるのに、人事のプロと言えるかどうかわからない。採用は毎年目標を達成してきた。でも"もし転職したとして、私に何ができるか"と考えると答えが出てこない。スキルを積んでいる実感はあるのに、強みが語れない」と。「経験を積んできた」という感覚と「プロとして自信がある」という感覚のギャップ——これは北海道に限らず、多くの人事担当者が感じていることです。

あるいは、人事担当者ではなく、「いつか人事に関わる仕事をしたい」と考えている方もいるかもしれません。総務兼務で人事っぽい業務をやっているけれど、「これは人事のキャリアと呼べるのか」という疑問がある。

人事のキャリアは、描きにくい職種のひとつだと感じています。でも、だからこそ意識的に考えることに価値があります。


2. 北海道ならではの文脈

北海道で人事のキャリアを積む上での特有の文脈があります。

まず、人事専任として働ける企業が少ない。中小企業が多い北海道では、「人事・総務・経理をまとめてやっている」という形が一般的です。これは制約でもありますが、逆に「幅広い業務経験が積める」という側面でもあります。

大都市圏では採用特化・組織開発特化・労務特化といった細分化が進んでいますが、北海道では一人が採用から労務管理まで担う「ジェネラリスト」型の人事が多い。この経験は、いつか組織を横断して俯瞰する立場になったとき、大きな強みになりえます。「採用・制度・育成を一人で設計できる」という経験は、都市部の大企業の人事担当者にはなかなか積めません。

一方で、成長機会や情報へのアクセスが限られやすいのも事実です。東京では日々人事系のイベントやコミュニティが開催されていますが、北海道ではその数が圧倒的に少ない。「学びたいけど、リソースが足りない」という状況が続いている人事担当者も多いのではないでしょうか。ただ、オンライン学習の普及によって、この状況は以前よりずっと変わっています。

UIターン・移住で北海道に来て人事職に就いた方の中には、都市部での経験を持っている人もいます。こうした経験の多様性が、北海道の人事コミュニティにとっての財産にもなっています。異なるバックグラウンドを持つ人同士が話し合うことで、「北海道の常識」と「都市部の常識」の差が見えてきます。


3. なぜ今この課題が重要か

人事担当者自身の成長は、組織の成長と直結しています。人事が学び続けないと、組織の制度や文化は時代に取り残されていきます。

労働環境や法制度は年々変化し、採用市場のトレンドも変わり続けています。リモートワーク・副業・AIによる業務変革——これらすべてが人事の仕事に影響します。「去年と同じやり方でやっていれば大丈夫」という時代ではなくなっています。

経営数字の側面から見ると、人事担当者のスキルギャップは直接コストに化けます。採用ミスマッチが続けば中途採用コスト(1人あたり80〜120万円)が重なり、制度設計のミスが是正されなければ不公平感による離職が起きる。一方、人事担当者が採用精度を高めたり、評価制度の納得感を上げたりすることは、これらのコストを削減する投資として捉えられます。「人事担当者の学習コスト」は、組織に戻ってくるリターンを持っています。ある企業では、人事担当者が面接手法を改善したことで内定承諾率が62%から81%に改善し、追加採用媒体費の削減効果だけで年間100万円以上になったという事例があります。

北海道固有の経営課題として見ると、この重要性はさらに増します。後継者不足・人口流出・人手不足という構造課題に直面する北海道の中小企業にとって、「採用だけに頼る」戦略の限界はすでに見えています。「今いる人材をどう育て・定着させるか」を設計できる人事担当者がいるかどうかが、10年後の組織の存続に関わるといっても過言ではありません。


4. 実践に向けた3つの視点

視点1:「人事のキャリア」を言語化する

自分が人事として何を得意としているか、何を目指しているかを言語化したことはあるでしょうか。「採用が得意」「組織開発に関心がある」「労務管理の経験が厚い」——自分の強みとキャリアの方向性を言葉にすることが、成長の方向を定める第一歩です。

人事のキャリアには大きく、「スペシャリスト型」と「ジェネラリスト型」があります。どちらが正解ということはなく、自社の規模・ニーズ・自分の志向によって方向性を選ぶことが大切です。ただ、「どちらでもない」曖昧な状態が続くと、成長実感が得にくくなります。まずは「自分が今、人事の何が得意か」を1枚の紙に書き出してみるだけでも、次に何を学べばいいかが見えてきます。

視点2:「実践と学習」を交互に回す習慣を作る

人事の成長は、「学んで実践する」の繰り返しによって積み上がります。読んだ本のエッセンスを自社の施策に取り入れてみる。外部の研修で得たフレームワークを、実際の評価制度見直しに使ってみる。そのフィードバックをまた学びに活かす。

北海道にいながらオンラインで受けられる学習コンテンツも増えています。人事系の講座・コミュニティ・書籍——学ぶ手段は以前よりずっと増えています。「環境がない」ではなく、「学ぶ習慣があるかどうか」が、成長の差をつけていると感じています。週に30分の振り返り時間を確保するだけでも、1年後の成長量は大きく変わります。

視点3:「同じ悩みを持つ仲間」とつながる

人事の仕事は、社内では孤独になりやすい職種です。組織の機密情報を扱い、社員の評価にも関わるため、なかなか職場内で相談できない。一人で抱えてぐるぐると考えてしまうことが多い。

だからこそ、「社外の人事コミュニティ」とのつながりが重要です。北海道内にも、人事担当者の勉強会や交流会がゆっくりと増えています。オンラインを使えば全国の人事担当者とつながることも可能です。「同じ悩みを持つ仲間と話す」という経験が、孤独感を和らげ、視野を広げてくれます。他社の事例を聞いて「うちでも同じことが起きている」という発見が、自社の問題を新しい角度から見るきっかけになります。


5. 事例・エピソード:ある北海道の若手人事担当者の変化

ある北海道の中堅企業で人事を担当している20代後半の方は、入社3年目まで「自分が人事として成長しているのかわからない」という状態が続いていました。採用と労務の実務はこなせているが、「もっとできるはずなのに、何をすればいいかわからない」という感覚があったといいます。「採用の目標は達成しているのに、自分の何が武器なのかわからない」——この言葉が印象的でした。

転機は、人事系のオンライン学習プログラムに参加したことでした。体系的な知識を得るとともに、全国の人事担当者と対話する機会ができ、「自分の悩みは自分だけじゃない」という気づきがありました。また、他社の取り組みを聞くことで、「うちの会社でもできるかもしれない」というアイデアが生まれました。「あの会社が面接フローを変えて内定承諾率が上がった、うちも試してみよう」という学びが、具体的な行動に変わりました。

その後、学んだことを自社の採用面接フローの改善に取り入れたところ、採用にかかる時間が短縮され、内定承諾率も改善。上司から「最近、仕事の提案の質が変わった」と言われ、それが次の成長への自信につながったといいます。「経験を積んでいるだけ」の状態から「経験から学んで再現できる」状態に変わった——そこが転機でした。


6. よくある失敗パターン

「学んでいるだけで実践しない」:インプットはするが、日常業務に戻ると何も変わらない——これが最もよくあるパターンです。学んだことを「小さくても試してみる」という姿勢がないと、知識は蓄積されても力にはなりません。「学んだこと→自社で試せること→今月中にやってみること」という変換を習慣にすることが大切です。

「何でもできるようになろうとして何もできていない」:人事の仕事は広いため、「全部学ばなきゃ」と思い、結果として何も深められないことがあります。まずは自分の現職で最も重要なテーマを一つ決め、そこを深堀りする集中が必要です。「採用精度を上げる」「評価の納得感を高める」——一つのテーマで成果を出すことが、次のテーマへの信頼と自信を生みます。

「キャリアを会社任せにしてしまう」:「いつか異動でもっと良いポジションに」「会社が育ててくれるはず」という受動的なスタンスでは、キャリアの構築は難しい。特に人事という職種では、自律的なキャリア観が求められます。「自分がどんな人事担当者になりたいか」を持ち、それに向かって意図的に経験を積んでいく——その意志が、キャリアを形にしていきます。


7. 「事業を伸ばす人事」を北海道から

北海道で人事のキャリアを積むことは、決して不利ではないと思っています。

農業・観光・食品・IT——多様な産業の現場に近いところで人事の仕事をする経験は、視野の広さとして身につきます。中小企業で一人人事として全体を担う経験は、後に組織を設計する立場になったときの基盤になります。「採用から制度設計まで全部やった」という経験は、都市部の専門化された人事担当者にはない強みです。

経営的に見ると、「人事のプロが育った北海道の企業」と「そうでない企業」の差は、10年単位で開いていきます。採用精度・定着率・組織の生産性——これらの差が積み重なれば、競合との差別化要因になります。人事担当者が成長することは、個人のキャリアにとっても意味がありますが、経営にとっても確実にリターンがある投資です。

「北海道にいるから成長できない」ではなく、「北海道にいるからこそ積める経験がある」という視点を持てるかどうかが、キャリアの見え方を変えていくと思っています。

最後に、「人事のプロ」とは何かをもう一度考えてみたいと思います。スキルが全部ある人ではありません。「事業・組織・人・先人の知恵を深く知り、それを組み合わせて組織と人が良い状態になることを実現し続ける人」だと思っています。北海道の中小企業で一人人事として奮闘する担当者は、毎日その挑戦の中にいます。その積み重ねが、北海道の企業を強くし、地域の産業を支えていく。「事業を伸ばす人事」を北海道から生み出していくことが、地域の未来につながっていくはずです。

人事のキャリアは、積み上がるほどに「できること」が増える職種です。最初はわからないことだらけでも、一つひとつの経験が次の判断の根拠になっていきます。「今日の判断が、来年の自分の力になる」——そう信じて現場に向き合い続けることが、北海道の人事担当者を育てていくと思っています。


8. CTA

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